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平成31年 第1回 定例議会

 

健康格差を解消する取り組みについて

 平成28年時点での100歳以上の高齢者は、全国で65000人を超えています。
 国は100歳まで生きることが珍しくない長寿社会を迎えているとし、人生100年時代と言われています。
 ちなみに、千葉市においては100歳以上の高齢者数が平成30年12月31日現在で337人、男性48人、女性289人になると伺っています。

 また、長寿社会を迎える中、2030年の未来へ、人々は「どんな技術(テクノロジー)に期待しているのか」と、日経BP総研調査に、未来へのテクノロジー期待度ランキングが示されていました。

 その中では、人の細胞や組織を活用する再生医療について、あるいは、自身の免疫を活性化させてガンに挑む免疫チェックポイント阻害薬など、人生100年時代を見据えた医療技術が、テクノロジー期待度ランキングの上位を占めていました。外的な力で治す医療から、内的な力を生かす医療を、人々が期待していることがわかります。

 医療技術が発展する期待がある一方で、近年の社会経済情勢に伴い健診の受診や受診行動、望ましい生活習慣の獲得等について格差が生じていることは否めません。

 千葉県においては「健康ちば21」の計画が策定され、総合目標は、平均自立期間とされる健康寿命の延伸と健康格差の実態解明と縮小に取り組むとされています。

 この県の計画に示される健康格差の指標は、県内市町村の健康寿命の最長と最短で比較しているとのことでした。

 そこで健康格差を解消することについて、いくつかの取り組み・施策について伺います。

 一般的に健康施策においては、集団全体のリスクを図るポピュレーションアプローチと危険度がより高い者に対してのハイリスクアプローチがあり、それらを組み合わせて健康施策を展開されるべきと言われています。

 千葉市は集団リスクと危険度の高い者へのリスクをどのように捉え、どのような考えで健康施策を組み立てているのか?

 本市では、市民全体を対象としたポピュレーションアプローチとして、市民健康づくり大会などの市民向けのイベント、医師や歯科医師などによる講演会の開催などの健康教育、健康づくりに取り組む自主グループの活動支援、受動喫煙防止条例の制定などの社会環境づくりなど、様々な取組みを実施しております。
 また、ハイリスクアプローチとして、特定健康診査や特定保健指導、生活習慣病のリスクが高い方を対象とした重症化予防事業等のほか、禁煙サポートや禁煙治療費助成などの個別支援等を実施しております。
 ポピュレーションアプローチとハイリスクアプローチは、 どちらか一方に偏るのではなく、組み合わせて実施することによって、健康課題を解決するための両輪として相乗的に効果を出すものであると考えており、本市においても、健康課題の解決に繋がるよう組み合わせて実施しております。

 私は、この健康格差のある状態は個人の健康づくりだけが要因ではないと考えます。住んでいる地域や経済状況によって、格差が生まれないようにする取り組みが必要ではないかと考えています。

 健康、医療、介護データの評価分析を行うにあたって、各区の健康データなどの可視化をすべきではないかと考えます。
 これまでの本市の取り組みと今後の考えについては? あわせて、各区の保健福祉センターの可視化の取り組みについて、事業の評価分析、今後の方向性とその見える化については?

 健康データの可視化につきましては、国民健康保険の特定 健康診査等の受診率、糖尿病の指標となるヘモグロビンA1c(エーワンシー)や血圧等の検査結果、運動・栄養・喫煙状況などの生活習慣が分かる問診結果のデータのほか、介護保険の要介護度を区毎 若しくは中学校区毎に集計し、公表しております。
 健康づくり施策を進めていく上で、こうした地域毎のデータ活用は重要であると考えており、多くの地域団体が集まる各区の支え合いのまち推進協議会や地域健康づくり支援連絡会等でデータを提示して幅広く共有し、地域の取組みに反映していただくなど、活用方法について検討して参ります。
 また、各区保健福祉センターの取組みにつきましては、可視化したデータを活用し、地域住民の健康づくりを支援する地域健康づくり支援ネットワーク事業を展開しています。

 昨年、公明党として全国100万人アンケートを実施し、地域を訪問して伺った介護に関する調査のなかでは、介護が必要になったとき「経済的な負担」が心配という回答と同じくらいの割合で、「自分自身が認知症になること」が不安に感じるとの結果が示されました。

 

 直近の市民の皆さんとの意見交換においても、自身が認知症になることが不安との声があり、健康診断などにおいて認知症の症状の有無を検査することができないかとのことでありました。
 このようなことから、健康格差を解消するためにも認知症への不安をなくす支援が必要と考えます。

 より多くの市民が認知症を早期に発見できる機会を得るためにも、市民が健康診断を受ける際に、認知症の症状の有無を検査できる体制づくりを求めますが、当局の見解は?

 認知症については、市民の皆様に対し、誰しもが認知症となる可能性があること、早期に発見することで進行を遅らせることが可能であること等を周知し、症状の軽いうちに受診する必要性を理解していただくことが重要だと考えております。
 今後、認知症の人やその家族に対する診断後の支援体制の整備を進めるとともに、健診の場で認知症に関するチェックリストを配布し、早期受診を促すなど、認知症の早期発見・早期対応の取組みについて、引き続き市医師会及び関係団体と協議して参ります。

食育の推進について

 国において食育基本法に基づき第3次食育推進計画が作成されています。
「若い世代を中心とした食育」、「多様な暮らし」、「健康寿命の延伸」、そして、「食の循環や環境を意識した食育」、さらには、「食文化の継承に向けた食育」と、これらの5つの項目が重点課題であると聞いております。

 ライフスタイルが多様化するなか、食育の啓発のあり方も見直さなければならないのではないかと考えます。
 また、1人で食事をする孤食を防ぐこと、家族等と会話をしながらの楽しい食事を持つことは、子どもたちの心身の成長のためにも必要であると感じています。

 例えば、千葉市で食に関する取り組みを周知啓発できる場として、市内で展開されている子ども食堂を市の食育推進計画に位置づけ活用してはどうかと考えます。

 食をめぐる現状と課題については?

 食育推進計画では、「食事を1人で食べる子どもの割合の減少」「朝食を欠食する市民の割合の減少」など、13項目、35指標を設け、施策成果や達成度の把握を行っております。
 第2次計画における指標の達成状況は、全体の約3分の2が改善傾向であり、目標達成は9指標、改善は14指標、ほぼ変化なしは7指標でした。
 食事を1人で食べる子どもの割合や、朝食を欠食する市民の割合は、概ね改善がみられている一方で、食育に関心のある市民の割合は減少し、主食・主菜・副菜を組み合わせたバランスのよい食事がとれている割合については、全体では改善傾向がみられるものの、20歳代、30歳代といった若い世代で極端に低いなど、いくつかの改善が必要な状況が見受けられます。
 今後は、これらの課題を改善するため、第3次計画に基づき、取組みを進めて参ります。

 食育に関心を持つ市民の割合が低下していることへの対策については?

 食育に関心のある市民の割合は、第2次計画策定時の77.2パーセントから、64.7パーセントに減少し、これまで国や県の割合を上回っていた関心度が、それを下回る結果となっています。
 このため、誰もが気軽に「食」に関する体験や学習ができるよう、公民館等の身近な場所での料理教室や講座等を実施するほか、学校給食の試食会、農業体験の機会の提供など、様々な経験等を通じて「食」に関する知識が得られるよう、啓発活動を進めて参ります。
 併せて、市ホームページを活用した周知活動を行うほか、食育のつどい、健康づくり大会等のイベントにおいて、家族や仲間が一緒に楽しめる体験コーナーを充実させるなど、楽しく学ぶ機会の提供に努めて参ります。

 食生活改善推進員の取り組みと子ども食堂との連携について

 食生活改善推進員は、食を通じた健康づくりのボランティアであり、あらゆる年代を対象に、地域に根ざした食育推進活動を積極的に展開しております。
 具体的には、小学校、公民館、自治会、育児サークル等において、栄養バランスの良い献立、減塩や、野菜を摂りやすくする調理方法など、食生活改善のための普及啓発を行っております。
 また、子ども食堂との連携については、現在、子ども食堂の運営主体同士や関係機関との連携・情報交換を図るための交流会の開催を検討しており、その中で食生活改善推進員の活動に関する情報提供について、検討して参ります。

観光DMOについて

 DMOとは、観光物件、自然、食、芸術・芸能、風習、風俗など当該地域にある観光資源に精通し、地域と協同して観光地域作りを行う法人のことをいいます。

 Destination Management Organization(デスティネーション・マネージメント・オーガニゼーション)の頭文字の略です。

 私も含め多くの市民が、千葉市を中心とした観光地域づくりの必要性を感じているのではないかと考えます。

 千葉市は、観光機能の強化や体制づくりは喫緊の課題と認識し、観光地域づくりを実現するための舵取り役を担う日本版DMOの活用は、有効な手法の1つと考えることを伺いました。

 千葉市のこれまでの検討状況と課題については?

 観光は、商業、農業、交通などと関連の深い、裾野の広い産業であるため、DMO化に向けては各分野からの参加が必要です。
 また、まとめ役には高い調整能力が求められるため、本市では、各分野の事業者が会員となっている観光協会を中心にして、ふさわしい体制のあり方について検討しております。
 具体的には、DMO登録の可能性や、登録に向け本市観光の現状・課題を把握するため、観光入込客、市民の皆様、首都圏居住者を対象に行ったアンケート並びに関連事業者への聞き取り調査を実施したところです。
 その結果、観光振興に関する市民理解が十分でないこと、観光地としてのイメージが薄く広域からの集客が出来ていないこと、また、自然・歴史・文化に親しむ資源が点在する一方、回遊性が少ないために地域の持つ魅力が上手く来訪者に伝わっていないこと、などが課題として明らかになっております。

 今後の取り組みについては?

 調査などを通して明らかになった課題へ対応するため、観光協会が主体となりグリーンツーリズムにかかるモニターツアーを実施し、参加者並びに受入事業者の意見や感想などをヒアリングすることにより、観光コンテンツの磨き上げを図るほか、内陸部のグリーンエリア、海辺のブルーエリア、千葉都心エリアに点在する観光資源を線で結び、相乗効果を発揮しながら誘客するための施策についても検討するなど、様々な視点から観光で稼ぐことのできる可能性を探ります。
 また、事業者を対象とした新たな勉強会を立ち上げ、観光施策に対する理解促進のための取組みも進めることとしております。
 本市としては、観光協会のこれらの活動を支援するとともに、観光協会と緊密に連携し、観光を通じた地域経済の活性化に向け、「日本版DMO」登録制度の活用も選択肢の一つとしながら、東京や地方とは異なる、本市らしい体制のあり方について、さらに検討を加えて参ります。

外国人市民等への総合的な支援体制について

 外国人材の受け入れに関して、政府は新たな在留資格を設けて、日本で働く外国人を拡大する制度の基本方針や、受け入れ見込み数を掲げた分野別運用方針、さらには相談窓口の整備など、外国人や自治体への支援策を盛り込んだ総合的対応策を決定されました。

 働く環境の整備とともに、生活環境の整備が必要で、生活現場により近い自治体が主体となり、医療、福祉、子育てをはじめ、外国人市民等からの多様な相談に応じることが求められています。

 他国の文化理解促進など、これまでの国際交流分野だけでなく、日本語教育の支援、通訳の配置や自動翻訳アプリなどICTを活用した意思疎通などを図り、地域の国際化に向けた外国人市民等への支援が必要な時代になってきています。

 他の先進国でも外国人材に対するニーズが高まっている中、日本において、千葉市においても、生活する市民の暮らしの安心を確保するため、外国から来る側と受け入れる側が共生できる社会づくりを進めていかなければなりません。

 千葉市の総合戦略・人口推計を踏まえた、外国人の転入増に対する生活支援の中で、課題と対策について、また、その支援組織体制については?

 千葉市の総合戦略・人口推計を踏まえた、外国人の転入増に対する生活支援の中での課題と対策、支援組織体制についてですが、まず、課題と対策については、定住化、多国籍化の傾向も高まりつつあることから、多言語での情報提供の一層の充実や、多様化・複雑化する相談への対応などの課題に加え、言語や生活習慣、文化の相違に起因する、地域や職場でのトラブルなども課題として挙げられます。
 そのため、より細やかな支援を進め、生活者として、外国人市民も暮らしやすい地域社会づくりを目指していく必要があると考えており、「多文化共生のまちづくり推進指針」に基づき各種施策を展開しているところです。
 また、その支援組織体制についてですが、新年度から、外国人市民の生活相談や支援を強化するため、千葉市国際交流協会に多文化共生コンシェルジュを配置し、一般的な相談に加えて、市内行政機関の手続支援や余暇活動への助言、地域での交流に関する相談などに対応するとともに、より専門的な相談にも対応できるよう、従来の弁護士相談に加え、社会保険労務士等による労働相談も実施するほか、各所管部局と連携、協力して外国人市民への総合的な支援を進めてまいります。